シナモンについて調べてみました
夜、やっと子どもを寝かしつけて、ホッと一息。寝る前にコーヒー飲むと眠れなくなる~と思いつつも、あのアロマ効果がたまらない、という方も多いのではないでしょうか。
ひと昔は、シナモン(クスノキ科)の匂いがいダメだという人が多かったのですが、最近は、シナモンの香りに対して苦手意識を持つ人が、だいぶ減ってきたなぁ~と感じています。だいぶ、日本にも馴染んできた証拠でしょうか。
シナモンの香辛料としての歴史は一番長い
香辛料としてシナモンは大昔から使用されていたという記録が残っており、紀元前500年ころの旧約聖書にも、ヘブライ語で記載されていたといいます。紀元前200年代の古代シリア王国の国王の献上物の中にもシナモンが含まれていた記録が残っているそうです。当時のシナモンは希少価値が高く、非常に高価なものだったようで、皇帝や身分の高い人物や、一部の裕福層だけが入手できる品物だったようです。
シナモンは3種類ある
ところで、一言でシナモンといっても、現在流通しているのは3種類あるそうです。
シナモンは採れる量がそれほど多くないようです。そのためか、シナモンと同じくクスノキ科シナモン属の「カシア」がシナモンの代わりに使われることが多いようです。この「カシア」、風味はシナモンよりかは劣るものの、生産量が多いため、市場で入手しやすく、漢方薬としても使用されているとのことで、市場で入手される多くの「シナモン」はこの「カシア」だそうです。
肉桂(ニッケイ)も同じくクスノキ科で、学名にシナモンという名がついており、「シナモン」として出回っている一つだそうです。華南源産で、風味はシナモンやカシアと比べると劣るそうです。日本では肉桂(ニッケイ)がなまってニッキという名称で呼ばれており、子どもの駄菓子に使用されていた時代もあったそうです。
シナモン・カシア・肉桂の主たる香りの成分
クスノキ科シナモン属である3つの「シナモン」の主な香りの成分は、ケイヒアルデヒドで、空気中で酸化されやすく徐々にケイヒ酸に変化するため、香りの質の良し悪しはあるらしいけど、同じような香りということになりますね。
シナモン成分の機能性
抗菌作用、抗酸化作用、内臓脂肪の蓄積抑制効果、抗炎症作用などが主に報告されているシナモンの機能性のようです。
①食品への防腐効果・抗酸化作用
シナモン精油の主成分んはケイヒアルデヒドと考えられており、この抗カビ活性と過酸化物価への抗酸化力が強いことが示されています。
まだマウス研究での段階の発表ですが、高脂肪・高ショ糖食にケイヒアルデヒドを添加した餌を食べたマウスとケイヒアルデヒド無添加の餌を食べたマウスを比較すると、ケイヒアルデヒド添加した餌を食べたマウスでは、肩甲骨間褐色脂肪組織が刺激されることによる内臓脂肪の蓄積が軽減されることが分かったといいます。
②抗炎症効果
マウス実験の結果として、脂肪細胞での炎症を引き起こすたんぱく質(トリステトラプロリンtristetraprolin)とそれに関連する遺伝子の発現を抑制するという報告があるそうです。この炎症たんぱく質の活性化を抑制することによって、抗炎症効果が期待されるそうです。
③糖尿病(インスリン抵抗性)への効果
シナモンの水抽出液を22日間経口投与させたマウス研究の結果、ミトコンドリアへの作用(ミトコンドリアUCP-1の上方調節)、筋肉と脂肪組織に働きかけ(GLUT-4転座)ることによって、インスリンの働きとは関係なく、抗糖尿病効果を示したそうです。
ヒトでの研究結果も出てきており、シナモンとお酢(酢酸)を一緒に摂取した場合、食後15分で結党濃度を低下させ、また、満腹感も感じられたという結果を得たそうです。
中国の研究でも、2型糖尿病の患者さんを対象にした研究の結果、シナモンサプリメントの摂取によって、HbA1c(糖化ヘモグロビン)の値と空腹時血糖値が有意に低下したそうです。
しかし、耐糖能が損傷している人にセイロンシナモンを投与して耐糖能試験(OGTT)を行ったところ、血糖値、インスリン濃度、グリセミック指標、インスリン指標のいずれにも有意な影響が見られなかったということで、まだまだヒトの糖尿病に対する効果には矛盾点や問題点もあるそうで、さらなる研究が求められている、との見解でした。
参考資料:
Functional Food 32. Vol. 11 No. 2. 2017. フジメディカル出版
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