新生児・乳幼児期アレルギー予防方法、今と昔

新生児・乳幼児のアレルギー疾患の発症が増加していることは以前より指摘されており、いろいろと予防策が試行錯誤されてきました。

乳幼児期のアレルギー疾患の多くがIgE(免疫グロブリンE)といって特定の免疫が関与しているため、「アレルギーを引き起こす原因となる物質を徹底的に除去しよう」と、免疫が「敵」と認識したものは体の中に取り入れない、という方法が長年取られてきました。

しかし、その結果は期待したものからは程遠く、結果的には、アレルギー疾患発症を予防するところか、アレルギー疾患発症を促進することが判明しました。


以前に推進されていた予防方法とその結果と、
現在推奨されている予防方法との比較


妊娠中・授乳中の母体のアレルギーの原因となりうる食物の摂取制限

  • アレルギー疾患の発症には遺伝子因子の関与が大きいため、妊娠中・授乳中の母親の食事制限が子どものアレルギー発症を予防すると考えられていました。しかし、海外による大規模な調査の結果、妊娠中・授乳中の母親の食事制限が子どものアレルギー発症を予防するという明らかな証拠は得られなかった。
  • だからといって、アレルギー発症には家族歴や食事の影響が大きいため、妊娠中にアレルギー発症の原因になり可能性がある食物を、まったくリスクを考えずにすべての母親に推奨するには、まだエビデンス(証拠)が十分ではない。
  • また、食物除去は母親と子どもに対して有害な栄養障害を引き起こすおそれがある。

結論

妊娠中・授乳中の母親の食事制限が子どものアレルギー発症を予防するエビデンスはないし、アレルギー発症リスクの高い子どもの母親がアレルギー発症の原因となりうる食物を頻回に食べることが子どものアレルギーを予防できるというエビデンス(証拠)もまだ十分にはない。


乳児のアレルギー発症の原因となりうる食物の食べ始める時期を遅らせることがアレルギー発症の予防となる

  • 海外および日本における大規模研究の結果、子どもの離乳食を遅らせることはアレルギー発症の予防にならないばかりか、逆に食物アレルギーの発症の危険性を高めると考えられる、という結果になった。
  • アトピー性皮膚炎を持つ、食物アレルギーを発症する危険性の高い子どもであっても、湿疹の治療をきちんと行いつつ離乳食を始めるほうが、食物アレルギー発症の予防効果が高いことが分かった。ただし、早期に大量のアレルゲン(アレルギー発症の原因となりうる食材)を食べることは勧められない、とされた。

結論

乳児の、アレルギー発症の原因となりうる食物の食べ始める時期を遅らせることが、逆にアレルギー発症の危険性を高める。


その他、日本の食物アレルギー診療ガイドライン(JPGFA2016)

からピックアップ


★アレルギー家族歴のある児における食物アレルギー予防についての指針

臨床婦人科産科Vol. 72 No. 8.2018.pp782-785.下条直樹.「胎児・新生児・乳幼児におけるアレルギー予防対策」表1より一部抜粋

完全母乳栄養

  • 母乳には多くの有益性があるものの、アレルギー疾患予防という点で完全母乳栄養が優れているという十分なエビデンス(証拠)はない。


人工栄養

  • 加水分解乳による食物アレルギーの発症予防には十分なエビデンスがない。


プロバイオティクス/プレバイトティクス

  • 妊娠中や授乳中のプロバイオティクスの使用が児の湿疹を減ずるとする報告はあるが、食物アレルギーの発症を予防するという十分なエビデンスはない。

    ★妊娠中の母体の発酵食品摂取とアレルギー疾患予防効果との関連も報告されているため、今後の研究の進展が期待されている。


参考資料

臨床婦人科産科Vol. 72 No. 8.2018.pp782-785.下条直樹.「胎児・新生児・乳幼児におけるアレルギー予防対策」.医学書院

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